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ドクターソフトニュース(2011-08-29)  2011秋の新製品-3  グループ化した病院や診療所で、他の病院に来院した患者のカルテを参照できる


2011秋の新製品-3  グループ化した病院や診療所で、他の病院に来院した患者のカルテを参照できる


<背景>

病院や診療所のグループ化が増えています。グループ化のメリットを生かすにはカルテ情報の共有、すなわち、同一患者が複数の病院を受診しているときに、すべての病院での診療情報を把握できることが必須です。従来の一般的なグループ病院システムでは、病院をまたがったデータベース(DB)サーバー、すなわち、それぞれの病院のDBサーバー以外に、複数病院の診療情報、またはインデックス情報を保持する集合的なDBサーバーを別途構築しなければなりませんでした。

<集合データベースの問題>

この方式(集合データベース、集合DBと呼びます)は、本質的に難しい問題があります。いくつもの病院で時々刻々入力、変更される情報を集合DBに反映させなければなりません。数多くの病院の情報を正しく集合DBに反映させること自体、技術的に煩雑である上に高価なシステムが必要となります。また、集合DB中には膨大な量の患者個人情報が収納されるので、厳重な機密管理が必要となり、これも大きな追加費用がかかる原因になります。また、病院は院長がすべての責任を持っていますが、集合DBは各院長の管理下には無いので、組織的な責任の持ち方も難しくなります。

同じ情報を遠隔地の別DBにもうひとつ保持すること自体が、本質的な問題の根源です。DRSは、この本質問題を重視し、集合DBを使わずにカルテ共有する仕組みを作りました。

<DRSCOSMOSメッシュ上のリクエスター、患者クエリー、リスポンダー、モデル>

DRSでは、「DRSCOSMOS」により、グループに所属するすべての病院のすべてのPCがメッシュ状に通信経路を確立します。あるドクターがある患者をDRSカルテ上に呼び出すと、DRSカルテプログラムはその患者のIDや氏名や生年月日などを含んだ存在問い合わせ(患者クエリー)をメッシュ経由ですべての病院に送ります(問い合わせするPCをリクエスターと呼びます)。各病院には、患者クエリーに答えるPC(リスポンダー)が何台か用意されており、リスポンダーが自分の病院のDBを検索してこの患者の情報が自分の病院に存在するかどうか調べます。存在している場合、リスポンダーは、リクエスターに対し、患者のIDとDBのアドレス(URL)をIPV6で返し、リクエスターは他病院のDBをIPV6で直接読んでカルテ情報を得ます。

リスポンダーが存在する病院がDRS以外の電子カルテシステムを利用している場合は、リスポンダーがDBのアドレスではなく、仮想DBのIPV6アドレスを返します。仮想DBとは、DRSで定義されたXML形式でカルテ情報を返す院内のサーバーです。DRSカルテは、DBを読むのと全く同様にXML形式のカルテ情報も読めるため、仮想サーバーを設置することにより、他社システム中のカルテも無差別に読むことができます。

<シンプルで安価なフェイルオーバーによる可用性確保>

リスポンダーは一病院内に複数稼働させても良く、また、すべてのDRSPCがリスポンダーの機能を持っており、故障の時に自動的に他の適したPCがリスポンダーに昇格できる(フェイルオーバー)ので、常時稼働させることが容易で費用もかかりません。

リスポンダーは、時病院内のDBサーバーのIPV6アドレスを、都度DRSCOSMOSのメッシュを使って調べるので、DBサーバーが故障のために予備サーバーに切り替わっている時でも、生きているDBサーバーアドレスをリクエスターに知らせることができます。

<患者一元管理の方法>

グループ内で一人の患者に対して一つのIDを付与することが保障されている場合は、他病院へのクエリーは患者IDで行うことができます。DRSを全病院で利用した場合は、DRSの分散型ID発番機能を利用できます。これは、互に通信することなく、また、一元的な発番サーバーを利用することなく、各病院が自分で他と衝突しないIDを発行するアルゴリズムです。

しかし、現実には、過去にすでに付与されたIDや複数のメーカーの体系の異なる患者IDがグループ内に混在しています。

DRSは、患者クエリー中に、患者識別に利用できるなるべく多くの情報を含め、リスポンダーがそれらの情報をすべて活用して同一患者を見つけ出す、というモデルを採用しています。それでも一意に患者を絞り込むことができない場合があるので、可能性が高い患者をすべてリクエスターに伝え、最終的にはユーザーが判断します。一つの病院に複数の患者が見つかった場合、同一である可能性が高い順に表示し、カルテ内容を確認することによりユーザーが患者に質問するなどして判断し、同一患者を決定します。

<病診連携での認証方法>

グループ外の病院や診療所とカルテ共有する場合は、参照者が正当な医師であることを確認しなければなりません。DRSでは、A病院で患者Mを診療中のドクターDが、DRSCOSMOS機能で連携している病院、診療所に患者存在クエリを送ります。X病院にMのカルテが存在することを知った場合、AがX病院に対して認証の要求を送ります。X病院ではDが正当な参照者であるかどうかを認証します。判定は、PKIのような社会的インフラを利用しても良いし、通信や電話を使って人が判断することもできます。

DRSにおいては、このように、情報を開示する側の責任で相手の認証を行います。この方法は、情報管理の責任の所在を明確にすることができ、認証の社会的インフラが整っていない環境においても、現実的で実用的な認証を行うことができます。両方の病院の同一患者の主治医どうしが、その患者に関して話せば、情報請求者の正当性を容易に判断できるはずです。


以上

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