TO:DRS関係者各位
FROM:油井コンサルティング 岡本
DATE:9/3/2002
RE:G00071 更正医療公費「15」、育成医療公費「16」対応仕様

質問

更正医療のDRSでの入力について質問します。

更正医療(15公費)の入力の仕方(外来)について
問い合わせがありましたので、ご指導頂きたくメールしました。

クリニックでは、15公費の患者に対して、外来受診されると、
患者が持参する更正医療券に記載されている月額自己負担額を、
その月の日数で日割りして、1日の負担金を求め、
患者に請求しているそうです。(1日ごとに会計している)

この様な15公費の、保険情報への登録方法や、
点数計算のときに必要な設定などを、ご指導下さい。

回答
<岡本20020903>
上記について、クリニックの人は、誤解をしていると思われます。

「更正医療券に記載されている月額自己負担額を、
その月の日数で日割りして、1日の負担金を求め、患者に請求」

とのことですが、この請求ルールで請求するのは、更正医療の入院の場合です。
外来の場合は、月額限度額になるまで、患者に負担金請求します。

更正医療公費の対応仕様は、「recept32.log」に記載されてます。
下記に「recept32.log」よりの抜粋を載せます。

------------------------------------
recept32.logより抜粋

6/14/2001
5.医科、調剤(更正医療公費「15」、育成医療公費「16」対応)

H:MRT、HMM、YC

背景
更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)は、患者の所得額に応じて患者負担金が発生する場合がある。
これらの公費に係る患者負担金額は、患者毎に月限度金額が定められている。

実際の更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)の仕様は、下記のようになっている。

仕様

1)これらの公費は、保険者より医療券が発行される。医療券には、下記の情報が記載されている。

・公費給付対象病名
・診療予定期間 入院?日間 又は 通院 ?回?日間
・入院、通院の別
・入院月額 (入院の場合の患者負担金額の月限度金額)
・通院月額 (外来の場合の患者負担金額の月限度金額)


2)医療券は、入院、通院(外来)用に別れる。

入院期間が1月に満たない入院の場合の患者負担金額の月限度金額は、医療券に記載されている「入院月額」を元に下記計算式で求めた金額(日割りの金額)になる。(注 算出額に10円未満の端数が生じた場合は、端数を切り捨て、10円単位とする。その月の日数は、月により異なる。(例 5月は31日、6月は30日))

(入院月額 X その月の入院日数)/その月の日数

例 入院月額 40350円 6月入院 入院日数3日の場合、患者負担金の月額限度額は、下記のようになる。
(40350円 X 3日)/30日=4035円 
−10円未満切り捨て−> 4030円


3)1月間の患者負担金額は、下記のルールにより求める。

3−1)外来の場合
来院毎の「医療費定額負担金+薬剤一部負担金」の累計と「公費通院月額」を比べて少ない方の金額を患者に請求する。

例 国保+15公費患者 15公費 通院月額 2000円
      医療費 薬剤負担金 国保患者負担金     窓口で患者に
                                ()内は月累積金額   請求する負担金額
1来院目     200点      150円      750円(750円)        750円(750円)
2来院目     300点      150円     1050円(1800円)      1050円(1800円)
3来院目     200点      150円      750円(2550円)       200円(2000円)

上記例の場合、月3来院目の「窓口で患者に請求する負担金額」が「15公費通院月額 2000円」でクリップされて「200円」になる。

もし、上記例で当月の来院が月2来院目で終了した場合は、「窓口で患者に請求する患者負担金額」の合計は、「1800円」になる。

注意事項
過去のカルテを修正して修正した来院日の患者負担金額が変更された場合は、変更した来院日以降の当月中のすべての来院について、患者負担金額を再計算しなければならない。

具体的には、15公費の通院月額が存在する患者の過去のカルテ修正をした場合は、下記の操作手順を行ってください。

a)過去のカルテ修正する。
b)メニュー「訂・過去のカルテ修正記録終了」でカルテ情報を記録する。
窓口会計しないで修正記録する。
c)メニュー「機能・再計算」で再計算期間指定画面を表示する。
d)再計算期間指定画面の計算期間をカルテ修正対象の来院日から末日にしてボタン「計算開始」を押す。
(当月中の来院の負担金再計算が行われます。)
e)メニュー「終了・入出金」で入出金画面を表示し入出金額がある場合は、
その金額を患者に請求又は返却し、入出金画面のボタン「記録」を押す。
(当日の来院に出金情報が記録されます。)

3−2)入院の場合
「医療費定額負担金+給食料の標準負担額」と「公費入院月額」を比べて少ない方の金額を患者に請求する。(注 入院期間が1月に満たない場合は、「仕様2)」に記載した計算式により求めた「入院月額」と比べる。)

例 国保+15公費 医療費1000点 標準負担額 2340円 入院日数3日 
入院月6月(6月は日数は30日) 入院月額 40350円の場合

医療費 標準負担額 国保患者負担金  入院月額  患者請求  15公費
                                                負担金額 給付金額
1000点     2340円      5340円        4030円   4030円    1310円

(注 上記例の「入院月額」の計算方法は、「仕様2)」の例を参照)


4)レセプトへの印字ルール

15公費に係る医療費に対して、実際に患者に請求した患者負担金額をレセプト下部の「療養の給付」の公費@又は公費Aの「一部負担金額」欄に印字する。

例 
「仕様3−1)」の外来での例の場合は、「2000円」を
「仕様3−2)」の入院での例の場合は、「4030円」を
レセプト下部の「療養の給付」の公費@又は公費Aの「一部負担金額」欄に印字する。


改良点
患者負担金が発生する更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)について、上記「仕様」に記述した仕様で対応した。

使用方法
患者に登録した更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)の自己負担限度額欄に医療券に記載されている入院月額又は通院月額を登録する。(注 入院の場合も自己負担限度額欄に登録する。入院自己負担限度額欄には、登録しない。)

入院期間が1月に満たない場合は、患者の更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)の自己負担限度額欄に登録されている金額に対して、「背景2)」に記載されている計算式を割り当てて、自動的に公費の患者負担金の入院月限度金額を計算する。

注意事項
1)レセプトの公費の一部負担金額欄に正しい、15公費に係る患者負担金額を印字する為には、「6/14/2001」以降の「getupa00.dat」を使用しなければならない。

2)この改良前では、患者負担金請求する更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)の対応としてコメント「{66}{???}」を使用して患者負担金額を指定出来るようにしていた。この対応の為に、「hoken.ini」で更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)の設定を変更していた。

今回の改良点を有効にするには、コメント「{66}{???}」を使用して更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)の患者負担金を指定出来るようにする設定をした「hoken.ini」を使用してはいけない。

6/15/2001時点でコメント「{66}{???}」対応の更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)の設定を入れているhoken.iniは、下記都道府県用hoken.iniである。

東京都(13),佐賀県(41),熊本県(43),大分県(44),鹿児島県(46)

上記都道府県ユーザーに、この「recept32.dll」をインストールする際には、同時に更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)の設定を削除した上記都道府県用hoken.iniをインストールしなければならない。

3)この改良の為に保険論理コード「1034」を追加した。
「hoken.ini」に保険論理コード「1034」を指定した保険を登録することで、更正医療公費(法別番号「15」)、育成医療公費(法別番号「16」)と同じ患者負担金請求論理の保険を登録出来るようになる。ただし、保険論理コード「1034」を指定した保険は、診療項目に明示的に保険を割り当てる保険(「T$4」指定)として登録しなければならない。

</岡本20020903>

以上